salacinol
投稿日:2022年11月10日/更新日:2023年7月24日
サラシアは、インドやスリランカにおいて美容と健康をサポートする植物として古くから活用されてきました。
最近では、サラシアの成分であるサラシノールが、特定保健用食品や機能性表示食品の関与成分として多数採用されています。
サラシノール(サラシア)の健康効果には、血糖値の上昇抑制を主に、腸内環境の正常化、免疫機能の調整など数多くの作用が確認されています。
今回は、サラシノール(サラシア)の特徴や期待される効果についてご紹介します。
サラシノールとは、「サラシア」と呼ばれるつる性の植物から抽出できる成分です。サラシノールには、食事として摂取した糖質が身体に吸収されるのを妨げる働きがあります。
サラシアは主にインドやスリランカに生えており、茎や根を浸した水を飲むと太りにくくなることが古くから知られています。サラシアの茎でカップを作り、水を入れて飲むといった方法で活用されていたのです。
インドの伝統医学(アーユルヴェーダ)では、サラシアを「奇跡の植物」と呼び、肥満治療や血糖値の上昇を抑えるとされています。
最近では、日本でもサラシノールをダイエット目的のいわゆる健康食品や特定保健用食品、機能性表示食品に含有した商品が増えてきています。
サラシノール(サラシア)の健康効果として以下の4つを解説します。
サラシノールには、血糖値の上昇を抑える効果があることが明らかになっています。
食事から摂取した糖質は、小腸でブドウ糖に分解されて身体に吸収されます。ブドウ糖は私たちの身体や脳のエネルギー源となる物質ですが、必要以上に摂り過ぎると血糖値が急激に上昇し、脂肪として蓄えられてしまいます。
このとき糖質を吸収しやすく分解している酵素はα-グルコシダーゼと呼ばれており、サラシノールがこの酵素の働きを妨げる作用があるとされています。
また、血糖値が上昇すると分泌されるインスリンには、中性脂肪の形成や貯蔵を促進させる働きがあります。
サラシノールによって血糖値の上昇が抑えられると、インスリンの分泌についてもコントロールすることができるため、太りにくい身体になっていきます。
サラシアは糖質分解酵素以外にも、腸で脂肪代謝酵素を阻害して脂肪吸収を抑制する働きや、体内の脂肪細胞に溜まっている脂肪の分解を促す働きも報告されています。
これはサラシアに含まれるサラシノール以外のポリフェノール類やテルペノイド類の働きによるものといわれています。
サラシノールには、腸内の善玉菌を増やす働きが期待されています。
サラシノールの摂取により、小腸で糖質の吸収が抑制されると、吸収されなかった糖質は大腸に届けられ善玉菌やビフィズス菌のエサとなります。
その結果、腸内の環境が改善され、便秘解消や美肌、免疫力アップが期待できます。
また、腸内環境が正常化すると、少ない食事量でも満足感を得やすくなり、肥満を予防できるとも考えられています。
サラシノールによって腸内環境を正常化することは、免疫賦活にも関連してきます。
小腸は、食べ物から摂取した栄養素を吸収するほかにも、体の中に侵入してくる異物を排除する免疫機能があります。
サラシノールによる免疫機能への影響について、サラシアを摂取することで、腸内細菌が正常にコントロールされることで、小腸の上皮細胞において免疫に関連する遺伝子の発現が高まることが報告されました。
すなわち、サラシノールを摂取することで体調不良の予防や花粉症の対策など、私たちの健康を幅広い視点からカバーすることが示唆されます。
サラシノールを抽出するためにはサラシアが必要ですが、日本国内には自生していない植物であるため、普段の食事に取り入れることは難しいといえます。
そのためサラシノールを摂取したい場合は、サプリメントやサラシアを使ったお茶(サラシア茶)から摂取するのが一般的です。
サラシア茶はドラッグストアやネット通販で購入することができます。食事中の飲み物として、サラシア茶をこまめに取り入れるのも良いでしょう。
また、サラシノールは食後の血糖値を抑える目的があるため、食事の前に摂取した方が効果が実感できるようです。
サラシノール(サラシア)は過剰に摂取したり体質が合わなかったりすると次のような症状が現れる可能性があります。
参考:サラシアエキス入り食品の過剰摂取または長期摂取の安全性評価
サラシノールを大量摂取すると、本来小腸で分解・吸収されるはずの糖質の多くが大腸に流れ過ぎてしまい、腸内細菌が必要以上に増殖してしまいます。
その結果、腹痛やお腹の張り、下痢などの症状を引き起こす可能性があるのです。
また、サラシノール配合のサプリメントには食物繊維が豊富に含まれている製品が多いため、ガスが出やすくなったりガスがお腹に溜まりやすかったりすることもあります。
ガス溜まりによってお腹が苦しくなると吐き気に繋がることもあるため注意が必要です。その場合は無理してサプリメントを続けず、使用を中止することも大切です。
サラシノール(サラシア)は、血糖値を下げる薬や糖尿病治療薬と合わせて使用すると低血糖を起こす可能性があるため、注意が必要です。
血糖値を下げる薬や糖尿病治療薬を飲んでいる方は、サラシノール配合のサプリメントやサラシア茶を飲む場合にはかかりつけ医か薬剤師に必ず事前に相談しましょう。
また、妊娠中・授乳中の方がサラシノールを摂取することの安全性については情報自体が少なく、現在明らかになっていません。サラシノールによって思わぬ健康被害が起こらないよう、サラシノール配合のサプリメントやサラシア茶の使用についてはかかりつけ医や薬剤師に相談した方が良いでしょう。
サラシアは天然のハーブですが、1日の摂取量を超えると腹痛や下痢などの体調不良を起こす可能性があります。
また、サラシノールが体質に合わない場合は、腹部の症状のほか、発疹や顔の赤みなどのアレルギーを発症する場合があります。
サプリメントやサラシア茶の摂取後に体調不調を感じた場合は、すぐにサプリメントの使用を中止してかかりつけの病院を受診しましょう。
サラシノールには、血糖値の上昇を抑える効果だけではなく、腸内環境を整える効果や免疫機能の調整など、美容や健康の悩みに訴求した製品に取り入れることができます。
Held(ヘルト)では、お客様のニーズにあわせた、訴求力の高いサプリメントの企画・製造を行っています。
企画から商品化までトータルサポートが可能ですので、サラシノールやサラシアを配合した製品の販売を検討している方は、お気軽にお問い合わせください。
管理栄養士、博士(生物環境調節学)、専門は栄養生理学 千葉 大成
東京農業大学大学院博士課程修了後、国立健康栄養研究所、大学研究機関で、食と健康に関わる研究活動および教育活動に18年携わってきました。研究活動としては、機能性食品素材に着目した骨粗鬆症予防に関する研究を主に行ってきました。一方で、教育活動の傍ら、地域貢献セミナーや社会人教育にも携わってきました。
そういった研究・教育活動から疾病をいかに予防するかを考えるようになりました。つまり、薬剤で“病気にフタ”をすることで病気を抑えることよりも生活習慣(食事、運動、サプリメント)で“病因を流す”ことによって疾病を予防していくことを積極的に働きかけていきたいと考えるようになりました。
2000年東京農業大学農学研究科博士後期課程修了後、2018年まで大学教育研究機関で主にフラボノイドによる骨代謝調節に関する研究に従事した。