Column
投稿日:2025年4月3日/更新日:2025年4月3日
■はじめに
最近、「NMN」という言葉を一般消費者の皆様も聞く機会が多くなってきたのではないでしょうか?
NMNは健康食品業界では最も注目されているアンチエイジングに関わる原料の一つです。
今回はNMNがどういった成分なのか、流行しているきっかけなどをご紹介します。
目次
NMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)は、枝豆、ブロッコリー、アボカドなどに含有される食品成分の一つです。
また、ビタミンB3の一種で、NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の前駆物質です。
NAD+は動物・植物・菌類など全ての生物種に存在する補酵素で、老化や寿命を制御するサーチュインという酵素を活性化させることが分かってきました。
NAD+は加齢に伴い減少する為、サプリメント等で摂取することで老化や寿命を延ばす働きが報告されています。
一方、NAD+は摂取しても分子量が大きく細胞膜を通過できませんが、NMNであれば容易に通過することが可能なので、NMNをそのまま摂取することによって、効果が期待できます。
サーチュイン遺伝子は「長寿遺伝子」、「抗老化遺伝子」と呼ばれ、近年、アンチエイジングやがんの発生を抑制するなどの健康寿命の延長に繋がるという研究が数多く報告されています。
しかし、サーチュイン遺伝子は加齢とともに活動量が減少し、普段は休眠状態でいます。サーチュイン遺伝子を目覚めさせる方法としては、生活習慣の見直し(エネルギー過多、運動)が必要と言われています。
さらに、サーチュイン遺伝子と関係のあるNAD+はミトコンドリアでのエネルギー産生反応の補因子の1つです。NAD+もNMN同様に加齢とともに低下し、加齢に関連する疾患の発症に重要な役割を担っていると言われています。
ところで、ヒトには7種類のサーチュイン遺伝子が存在していますが、これらを活性化させる役割を担っているのがNAD+です。
一方、NMNを摂取すると、体内でNAD+が生成されることが分かっています。
つまり、「NMNが体内に満たされていると、NAD+が増え、サーチュイン遺伝子が活性化し、アンチエイジングに効果があるのではないか?」という背景で研究が進められるようになりました。
ところで、この成分が配合されたサプリメントは、発売された初期はECサイトなどで1箱あたり数万円~数十万円の値段で販売されていましたが、現在は数千円~2・3万程度の安価な商品も流通するようになっています。
しかし、なぜ、高額なサプリメントにも関わらず、急に流行したのでしょうか。要因を考察しますと、以下の理由が考えられます。
1.NMNに驚異的なエビデンス(マウスの寿命を延ばした、ミトコンドリア内でのATP産生を促進する効果)が発表され、多くのメディア等で紹介されたこと
2.YouTuberや芸能人などの著名人などのインフルエンサーによって、NMNについて発信される機会も増えて、大きく拡散されるようになったこと
これらの理由から、一般消費者への認知拡大の一因と思います。
あらゆる製品の原材料は、厚生労働省によって「医薬品に該当するか否か」を定められています。
そのため、海外では食品として扱われていても、日本国内にて「非医薬品リスト」に含まれていない場合、その成分はサプリメントなどの健康食品へ一切配合することはできません。
NMNは2020年の3月の食薬区分改正で、「非医薬品リスト」に新たに追加されたことにより、健康食品でも配合できるようになりました。
これまでにも、コエンザイムQ10やL‐カルニチン、βアラニンなどが食薬区分の緩和を受けて、市場が拡大してきた経緯があります。前述した通り、NMNは、サーチュイン遺伝子やアンチエンジングへの高い効果で、兼ねてより美容業界や感度の高いサプリメント愛好家から高い注目を浴されていた成分だったので、各社が色々な商品を販売し、市場を形成していきました。
ところで、NMNを構成するビタミンB3は、体の中で自然に生産されるビタミンですが、加齢に伴ってNMNの生産は低下していきます。
50代にはピーク時である10代の半分ほどしか生産されなくなると言われています。体内でのビタミンB3の量が不足すると、老化促進に繋がり、体外からの摂取に頼らざるをえなくなります。
しかし、一般の食品からNMNを摂取するのは非常に難しく、1日に必要なNMNを食品から摂るには、ブロッコリーなら2000房、枝豆で10000粒、アボカドで600個が必要とも言われています。
したがって、アンチエイジングを目的すると、食品からではなく、サプリメント形状としてNMNを摂取することで、効率的です。そのため、多くの会社から色々なNMN製品が販売されてきています。
私たちは、「年齢を重ねても毎日楽しみたい」、「長い人生、いつまでも健康でありたい」、「毎日鏡を見ることを楽しみにしたい」、「軽やかに、健やかに若々しく過ごしたい」といった願望が心情的にあるかと思います。
NMNの長寿遺伝子の活性化、ミトコンドリア保護、抗炎症などの効果を実際に体感してみませんか?
管理栄養士、博士(生物環境調節学)、専門は栄養生理学 千葉 大成
東京農業大学大学院博士課程修了後、国立健康栄養研究所、大学研究機関で、食と健康に関わる研究活動および教育活動に18年携わってきました。研究活動としては、機能性食品素材に着目した骨粗鬆症予防に関する研究を主に行ってきました。一方で、教育活動の傍ら、地域貢献セミナーや社会人教育にも携わってきました。
そういった研究・教育活動から疾病をいかに予防するかを考えるようになりました。つまり、薬剤で“病気にフタ”をすることで病気を抑えることよりも生活習慣(食事、運動、サプリメント)で“病因を流す”ことによって疾病を予防していくことを積極的に働きかけていきたいと考えるようになりました。
2000年東京農業大学農学研究科博士後期課程修了後、2018年まで大学教育研究機関で主にフラボノイドによる骨代謝調節に関する研究に従事した。