Column
投稿日:2021年9月30日/更新日:2022年3月18日
『○○は体にいい!』『△△が多く含有してる!』といった情報をよく見かけるかと思います。
消費者の皆さんはいろいろな情報を得て、勉強されていることと思いますが、そのときに、科学的根拠情報があるから安心と思います。しかし、一度、立ち止まってそれらの情報を理解しましょうというのが今回のコラムです。
目次
ワインが体にいいよね!って飲み屋で話題となることもあります。皆さんもそういった認識があるでしょう。
なぜ、ワインが体にいいって事になったのでしょうか?それは、ワインの中に豊富に含むポリフェノールが健康に役立つということで、「ポリフェノール」という名前が一般的に大いに認知されました。ポリフェノールの『健康に良い』となった理由は、『ワインを飲む人はワイン以外のお酒を飲む人に比べ、総死亡率が低い』という報告が根拠となっています(Gronbaek M,et.al. BMJ; 310:1165-1169, 1995)。
では、なぜ赤ワインが体に良いってことになるのでしょうか?
これは、赤ワインを普段から飲酒している人は、あまりお酒を飲まない人、赤ワイン以外のアルコール類を飲酒している人より、野菜や果物を多く摂取していました。さらに、赤ワイン愛飲者は赤身の肉や揚げ物の摂取が少なかったという報告があります(Barefoot JC et al. Am J Clin Nutr, 76:466-472, 2002)。
ところで、野菜や果物はカリウムが多く含まれ、それらを食べることで血圧を下げ、心筋梗塞を予防する効果があるとされています。一方、赤身肉は飽和脂肪酸が多く含まれ、過剰な摂取が続くと心筋梗塞のリスクが高くなると考えられています。
赤ワインを普段から摂取している人たちは、『ワインを含めた食生活の結果として健康を維持していた!』とも考えられるわけです。
お酒は種類を問わず、適量であれば循環器系疾患のリスクを低減することは分かっています。心筋梗塞の予防効果はアルコールそのものにありますが、心筋梗塞の発症は一緒に食べる食べ物の影響が大きいということです。
もちろん、ワインに含有するポリフェノールが心筋梗塞の予防に関与することは認められていますが、あくまでその効果は限定的なのです。
そう。この限定的、プラスアルファを大きく取り出しすぎて過剰に期待してしまっているということです。
たしかに、赤ワインを習慣的に飲用している人の総死亡率が低いという報告はありますが、ほんとにワインそのものが及ぼした結果なの?それ以外に摂取していることの影響じゃないの?じゃ、他のお酒はなぜだめなの?と考えてみることが大事なのです。
健康情報は食べ物に含有されているある一つの成分に着目しすぎて、情報発信されるケースが多いですが、まずは、普段の食生活がどんなものであるかをご自身で考えないといけません。
普段、ご自分がどんなものを食べているのでしょうか?
「何を食べたらよいか?」ではなく、『なにを食べているか』をまず普段からご自身で考え、そのときに必要であればしっかり情報を吟味してから、サプリメントを利用するとよいかと思っています。
高齢者が多くなり、壮年期の不摂生から生活習慣病が増加傾向あることはご存知のことかと思います。そういった背景から20年以上前より、『予防』の意識がより強くなっています。健康維持のために取り入れた情報が本当に正しいのか、逆に体調崩したりしたら意味がありません。
したがって、自分の健康に対して、病気の予防をするためには情報を真剣に考えないといけません。固定観念を優先し、特定の食材や食事方法に頼ることはギャンブルと同じです。体調管理をするのと同時に、必要なサプリメントの情報も見極める必要があります。
普段の生活習慣を見直し、何をどのように食べているかを顧みて、正確な情報を見極めて、皆さんが健康寿命を延ばすことを切に祈っております。