Lactoferrin
投稿日:2022年8月3日/更新日:2024年3月22日
近頃、ラクトフェリンの配合された製品を見かけることが増えました。
その機能性の幅広さから様々な商品に採用されているラクトフェリンですが、実は一般食品よりもサプリメントから摂取することがおすすめの成分です。
さらに、ラクトフェリンには整腸効果だけではなく免疫機能を高める効果や女性にとっても嬉しい効果が数多く確認されています。
今回はラクトフェリンの機能性とその特徴について解説します。
ラクトフェリンとは、母乳・涙・汗・唾液・粘液・血液などの外分泌液中や好中球に含まれる鉄結合性の糖タンパク質です。
特にヒトでは、出産後の母親が最初に分泌する初乳に多く含まれている事で知られています。
初乳にのみ多く含まれる理由として、生まれたばかりの赤ちゃんを細菌やウイルスによる感染から防御する重要な役割を果たしていることが知られています。
さらに成人では、腸内での悪玉菌の増殖を抑えて、善玉菌を増やす効果があると言われており、腸内フローラ改善素材としても有名です。
さらに、免疫力を高める効果や、アレルギー症状を抑える効果、貧血予防、骨粗鬆症予防、ストレスを軽減する効果など、現代人の健康問題に関係する様々な効果が確認されており、特に健康食品分野などでは広く採用され、ヨーグルトなどの家庭用の食品だけではなく錠剤やカプセルのサプリメントなどにも配合され、幅広く市場に浸透しています。
ラクトフェリンの健康効果として以下の4つを解説します。
ラクトフェリンには、免疫細胞の一つであるNK細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化させる効果が確認されています。
NK細胞には、ウイルスや癌細胞などの身体に悪影響のある外部因子の発見と、それに対して攻撃をする機能が確認されています。
NK細胞の数が減ることや、活動が弱まる事は、前述の機能を低下させるため、免疫力の低下へと繋がるのです。
ラクトフェリンには、NK細胞を活性化させる効果や、NK細胞の数自体を増やす効果があるため、免疫機能を賦活し、ウイルスや細菌による風邪などを含む様々な感染症の脅威から身体を守る力を高めることが期待できます。
また、免疫機能を高める事は感染症からの防御だけではなく、花粉症などのアレルギー症状を軽減させることや、NK細胞の攻撃によってがん細胞を作り出してしまうことを抑制することにも繋がります。
今気になる免疫を高める訴求から、多くの人の悩みである花粉症などの対策まで、幅広くカバーすることができることは魅力的です。
ラクトフェリンには、腸内の悪玉菌の増殖を抑えて、善玉菌を増やす働きがあります。
人間の腸内細菌は大きく分けて、体に悪影響を及ぼす悪玉菌、良い影響を及ぼす善玉菌、どちらにもなり得る日和見菌の3つに分類されます。
一般的に、これら全てのバランスが保たれなくなると便秘・下痢などの症状が現れたり、風邪など体調を崩したりすることに繋がるのです。
さらに、慢性的にバランスが崩れていることによって、生活習慣病やガンなどのリスクを高めることにもなります。
腸には免疫細胞の約6~7割が存在すると言われており、身体の免疫機能のほとんどが集中していることや、脳腸相関と言われ、脳と腸はリンクしていると考えられており、ストレスや偏った食生活によって腸内環境の悪化した状態では、精神疾患などメンタル面の不調にも繋がりやすくなることなど、腸には身体全体の状態を左右する多くの機能が集約されているのです。
ラクトフェリンの摂取によって善玉菌を増やすことは、単に便通などを改善するだけではないことが分かります。
ラクトフェリンには、骨粗鬆症を予防する効果があると考えられています。
骨粗鬆症は、骨中のカルシウム濃度が減少することでカルシウム不足となり、骨の密度が落ちてしまう症状のことで、閉経後の女性に多い症状として有名です。
これは、閉経をきっかけに、骨を作り出す細胞である骨芽細胞と骨を壊す破骨細胞のバランスが崩れることにより発生する症状です。
ラクトフェリンには、破骨細胞の働きを抑える作用と、骨芽細胞の働きを促進する作用があるため、骨粗鬆症の予防などに効果的と言われています。骨が弱ることは、運動器症候群などによる老後の寝たきりリスクを高める要因となるため、近年では骨活も注目されている要素の一つです。
貧血の中でも特に多いのが鉄不足による「鉄欠乏性貧血」です。その改善には鉄やビタミンCなどの積極的な摂取と共に、鉄を吸収しやすくしてあげることが大切です。
ラクトフェリンは、鉄と結びつきやすい性質があり、鉄と一緒に摂取をする事で、その吸収を促す働きがあるため、貧血の予防や改善に効果的であると考えられています。
女性は月経による鉄分不足で貧血リスクがあり、特に妊娠期や閉経後はリスクが増大すると言われています。また、現代人は忙しさによる食生活の偏りなどから、鉄分不足に陥ることも珍しくありません。ビタミン・ミネラルなどのサプリメントや鉄を含むサプリメントなどと共にラクトフェリンを摂取することは非常に重要です。
ラクトフェリンはその特徴として、熱に弱く、酸や酵素などに分解されやすい性質を持ちます。
そのため、一般的な加工食品などでは加熱工程を含んでいることから、ほとんどの製品には含まれていないと言われています。
一般的な加工食品の中で、ラクトフェリンが含まれる製品としては、非加熱の牛乳や、加熱処理を含まないナチュラルチーズ、ラクトフェリン入りのヨーグルトなどです。
また、サプリメント製品にもラクトフェリンが含まれたものは多くあり、いずれかの製品から摂取をすることが望ましいでしょう。
また、ラクトフェリンは飲むタイミングが重要とも言われています。
前述のとおり、胃酸によって分解されてしまう性質があるため、食後の摂取が最適と考えられています。
ラクトフェリンは熱に弱い、酸に弱いなどの性質を持つため、食品からの摂取が非常に難しいです。また、非加熱である生乳やナチュラルチーズからの摂取もその含有量から考えると、効率の良い摂取方法とは言えません。
そのため、サプリメントからの摂取がおすすめです。サプリメントであれば、胃酸の影響を受けにくい形での製品製造も可能です。また、サプリメントであれば有効な摂取量を摂るのも非常に手軽で、生乳などと違って賞味期限も長く、保存性も高いです。
さらに、味やにおいが苦手で、牛乳や乳製品から直接摂取するのが難しい方でもサプリメントであれば気にせず摂取することが可能になります。
ラクトフェリンには、整腸効果だけではなく、免疫機能を高める効果や骨粗鬆症予防、貧血対策など女性のライフスタイルごとの悩みに訴求した製品の設計が可能です。
また、腸活や貧血対策訴求などでは、メインの素材の効果を補助する機能もあるため、副材としての利用もおすすめです。
Held(ヘルト)では、お客様のニーズにあわせた、訴求力の高いサプリメントの企画・製造を行っています。
企画から商品化までトータルサポートが可能ですので、ラクトフェリンを配合したオリジナル製品の販売を検討している場合には、お気軽にお問い合わせください。
管理栄養士、博士(生物環境調節学)、専門は栄養生理学 千葉 大成
東京農業大学大学院博士課程修了後、国立健康栄養研究所、大学研究機関で、食と健康に関わる研究活動および教育活動に18年携わってきました。研究活動としては、機能性食品素材に着目した骨粗鬆症予防に関する研究を主に行ってきました。一方で、教育活動の傍ら、地域貢献セミナーや社会人教育にも携わってきました。
そういった研究・教育活動から疾病をいかに予防するかを考えるようになりました。つまり、薬剤で“病気にフタ”をすることで病気を抑えることよりも生活習慣(食事、運動、サプリメント)で“病因を流す”ことによって疾病を予防していくことを積極的に働きかけていきたいと考えるようになりました。
2000年東京農業大学農学研究科博士後期課程修了後、2018年まで大学教育研究機関で主にフラボノイドによる骨代謝調節に関する研究に従事した。