エラグ酸

   

投稿日:2023年8月29日/更新日:2024年3月22日


エラグ酸という成分をご存知でしょうか。

 

エラグ酸はポリフェノールの1種であり、強力な抗酸化作用が確認されている成分の1つです。ダイエットや老化防止に役立つほか、抗がん作用も報告されているなど、多くの健康効果を有する特徴があります。

 

エラグ酸は果物に含まれていることが多く、食事からでも微量の摂取は可能です。しかし、最近はエラグ酸の健康効果への注目の高まりもあり、エラグ酸を主成分としたサプリメント商品が増えている傾向にあります。

 

本記事では、このエラグ酸の具体的な効果や摂取方法、副作用について解説していきます。エラグ酸の摂取を考えている方には役に立つ内容となっていますので、是非参考にしてみてください。

 

エラグ酸とは

エラグ酸とは、天然の抗酸化物質として知られている成分で、植物由来のポリフェノールの1種です。

 

強い抗酸化作用を持っており、細胞を酸化させる「活性酸素」を抑える働きがあります。

 

活性酸素は免疫系において重要な役割を果たす一方、過剰に発生すると細胞を傷つけやすく、生理機能が乱れる原因になることも少なくありません。そのため、生理機能を正常に維持するためにも、抗酸化作用は重要な働きと言えます。

 

ポリフェノールの場合、この抗酸化作用が有名ですが、エラグ酸はこれに加えてダイエットや老化防止、美容・美白、抗ガンなど、数多くの効果を有しているのが特徴です。この効果の多さから、最近では機能性素材としてサプリメントや化粧品など、幅広い商品に使用されています。

 

アフリカマンゴノキ由来エラグ酸は「機能性関与成分」

エラグ酸は様々な植物に含まれていますが、中でもニガキ科のアフリカマンゴノキから得られる「アフリカマンゴノキ由来エラグ酸」は、機能性関与成分の認定を受けている成分です。

 

機能性関与成分とは、機能性表示食品において機能性の科学的根拠が得られている成分を指します。in vitro、及びin vivo試験、あるいは臨床試験をもとに機能性の根拠が示されているので、信頼性としては非常に高いのが特徴です。

 

アフリカマンゴノキ由来エラグ酸の場合、脂肪細胞の分化・肥大化の抑制、中性脂肪の合成抑制などが確認されており、ダイエットにも有効な成分となっています。

 

【参考】

高脂肪食負荷マウスにおけるアフリカマンゴノキ抽出物の抗肥満作用

エラグ酸の5つの効果

エラグ酸に複数の効果があることは先ほど説明した通りですが、具体的には以下の5つの効果が確認されています。

 

  • 老化防止効果
  • 抗ガン作用
  • 美容・美白効果
  • 2型糖尿病の発症予防
  • 抗菌・抗ウイルス効果

 

エラグ酸は数多くの作用を兼ね備えているため、現在でも幅広い分野で注目されているのが実情です。

 

ここでは、現時点で確認されているエラグ酸の5つの効果について解説していきます。

 

【参考】

〈総説〉ザクロ等に含まれるエラグ酸の生理機能性

老化防止効果

エラグ酸の代表的な効果の1つが、老化防止効果です。

 

老化は通常、加齢やストレスによる細胞の酸化、およびそれに伴う生理機能の低下によって進みます。しかし、「サーチュイン遺伝子」が活性化されている場合には、老化は抑制されます。サーチュイン遺伝子は長寿遺伝子とも呼ばれており、細胞の再活性化を促す重要な遺伝子です。

 

サーチュイン遺伝子を活性化する物質はいくつかありますが、その中の1つがエラグ酸です。エラグ酸は腸内細菌によって代謝された後、サーチュイン遺伝子に働きかけるので、摂取することで老化防止効果が期待できます。

 

また、エラグ酸には抗酸化作用があり、血中での過酸化脂質の生成を防ぐ働きもあるので、これも老化防止効果を示す1つの根拠となっています。

 

抗ガン作用

エラグ酸の抗ガン作用については、現在も研究が進められている最中です。

 

これまでの報告によると、エラグ酸は何種類かのガン細胞に対し、アポトーシスを誘発させることが確認されています。アポトーシスとは細胞死現象の1つであり、ガンの増殖を妨げる重要な機能の1つです。そのため、エラグ酸はいくつかのガン細胞に対し、抗増殖効果を示す可能性が示唆されています。

 

また、前立腺ガン細胞に対しては、マトリックスプロテアーゼ2(MMP2)と呼ばれる酵素の分泌を抑制することも確認されています。MMP2はタンパク分解酵素の1つで、ガンの浸潤・転移に大きく関与する酵素です。このことから、前立腺ガン細胞に対しては、浸潤・転移の抑制効果があるとも言われています。

 

【参考】

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15936648/

 

美容・美白効果

エラグ酸の効果の中で最近注目されているのが、この美容・美白効果です。

 

通常、シミなどの色素沈着は「チロシナーゼ」という酵素が活性化することで生じます。チロシナーゼはメラニン合成の律速段階を担う酵素で、メラニンが作られるうえでは欠かせない酵素の1つです。普段はあまり活性化されていませんが、紫外線を多く浴びると強く活性化し、メラニンを過剰に合成するという特徴があります。

 

チロシナーゼに働きかける天然成分はいくつかありますが、中でもエラグ酸はチロシナーゼの活性を阻害し、メラニンの過剰合成を抑えることが分かっています。最近では化粧品に配合されることも多く、その効果の認知度も高まりつつあるのが現状です。

 

2型糖尿病の発症予防

エラグ酸は2型糖尿病の発症予防にも効果的と言われています。

 

2型糖尿病はインスリンの効きが悪くなる、いわゆる「インスリン抵抗性」を引き起こすことが主な発症原因です。インスリン抵抗性を引き起こす因子には様々なものがありますが、中でも大きな関与を示すのが「レジスチン」と呼ばれるホルモン。

 

レジスチンは肥満細胞から分泌されるホルモンで、肥満時に増えてインスリン抵抗性を高めることが分かっています。肥満は糖尿病の発症原因と言われますが、これはレジスチンの増加が1つの理由です。

 

しかし、エラグ酸にはこのレジスチンの分泌を抑える作用が確認されており、2型糖尿病の発症を予防できる可能性が示唆されています。最近ではサプリメントも出ており、糖尿病予防のために摂取する人も増えている傾向です。

 

【参考】

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23684435/

 

抗菌・抗ウイルス効果

エラグ酸には抗菌・抗ウイルス効果も確認されています。

 

一般的にウイルスが生物に感染する場合には、細胞に侵入し、そこで自身を増殖させていきます。増殖したウイルスは別の細胞へ侵入していくので、同じメカニズムにより増殖し、その繰り返しによって感染が成立するわけです。

 

しかし、エラグ酸にはウイルスが細胞へ侵入する過程を阻害する働きがあり、ウイルス感染を防ぐ効果があると言われています。

 

また、エラグ酸には歯周病の抑制作用があることも知られており、歯肉炎の原因菌が産生する毒素「ジンジパイン」を阻害し、歯周組織の破壊を防ぐ効果があることも分かっています。

 

エラグ酸には副作用はある?

 

現在のところ、エラグ酸に副作用は確認されていません。

 

エラグ酸は様々な植物に含まれており、古くから食事を介して摂取され続けているため、経験上安全性に問題はないとされています。

 

だからといって、同一成分の過剰摂取は思わぬ効果が出てくる可能性もあるため、サプリの大量服用などには注意が必要です。

 

エラグ酸の摂取方法

 

エラグ酸は果物に含まれていることが多いので、食事からでも微量の摂取は可能です。

 

ただ、最近ではサプリメントや化粧品・美容パックなどに配合されていることも多く、以前よりも効率的に摂取しやすい環境が整っています。

 

エラグ酸には多くの作用があり、人によって求める効果も様々なので、自身の求める効果に合った方法で摂取するのがおすすめです。

 

ここでは、これらエラグ酸の摂取方法について解説していきます。

 

サプリメントから摂取する

エラグ酸を体内で効率的に作用させる場合には、サプリメントから摂取するのがおすすめです。

 

サプリメントではエラグ酸成分が濃縮されている原料を用いるため、十分なエラグ酸量を摂取しやすく、体内での効果を期待しやすくなります。

 

エラグ酸はダイエットや老化防止を目的にサプリメントが提供されているので、これらの効果を期待する場合にはサプリメントから摂取するとよいでしょう。なお、ダイエットを目的とする場合は、機能性関与成分に該当するエラグ酸成分配合のサプリメントを選ぶと、より効果を期待しやすくなります。

 

ただし、サプリメントから摂取する場合には過剰摂取してしまうこともあるので、その点については注意が必要です。

 

食べ物から摂取する

エラグ酸は果物に含まれていることが多いので、食事からでも微量ながら摂取できます。

 

エラグ酸含有量が多いものとしては主にいちごやザクロが挙げられ、そのほかラズベリーやブラックベリー、クランベリーなどのベリー類にも多い傾向があります。

 

ちなみに、ザクロについては純粋なジュースで2.06mg/100mL、いちごについては1.24mg/100gと、非常に多くのエラグ酸を含んでいるのが特徴です。

 

これらの果物はビタミンやミネラルなども豊富に含んでいるので、他の栄養素も一緒に補給したい場合には食べ物から摂取するのがよいでしょう。

 

ただし、食べ物からの摂取ではどうしても限界があるので、効率性を優先するならサプリメントがおすすめです。

 

化粧品・美容パックから摂取する

エラグ酸はメラニン合成抑制作用を持つため、最近は化粧品や美容パックに配合されていることも多くなっています。そのため、エラグ酸を摂取したい場合には化粧品や美容パックを使うのも1つの方法です。

 

化粧品や美容パックは皮膚に塗布、あるいは貼り付ける形で使うことが多いので、成分を皮膚に作用させやすいという特徴があります。エラグ酸の場合は皮膚に作用させるとメラニン合成抑制作用が働きやすくなるので、美白や美肌、老化防止を目的としている場合にはこれらの方法がおすすめです。

 

ちなみに、化粧品としての安全性については臨床試験が行われており、通常使用下においては皮膚刺激性、皮膚感作性などの懸念はないことが確認されています。そのため、エラグ酸は化粧品の形でも安全に摂取可能です。

 

健康食品・サプリメントのOEMは「Held(ヘルト)」にお任せください

 

エラグ酸は抗酸化物質の1つであり、強力な抗酸化作用を有する成分となっています。そのほかにも、ダイエットや老化防止、美容・美白など、数多くの効果を持っているのが特徴です。

 

エラグ酸はその効果の幅広さから、様々な分野で注目されており、サプリメントでの摂取需要も高まっているのが現状となっています。

 

Held(ヘルト)では、最新のニーズやトレンド、お客様のご要望に合わせて、様々な機能性原料を用いた商品の提案をしており、企画から製造、販売まで、トータルでのサポートが可能となっています。

 

エラグ酸を配合した製品の対応も可能ですので、エラグ酸を配合した独自製品の販売を検討している場合には、お気軽にお問い合わせください。

 
管理栄養士、博士(生物環境調節学) 千葉 大成

■監修

管理栄養士、博士(生物環境調節学)、専門は栄養生理学 千葉 大成

■人々の健康のために

 東京農業大学大学院博士課程修了後、国立健康栄養研究所、大学研究機関で、食と健康に関わる研究活動および教育活動に18年携わってきました。研究活動としては、機能性食品素材に着目した骨粗鬆症予防に関する研究を主に行ってきました。一方で、教育活動の傍ら、地域貢献セミナーや社会人教育にも携わってきました。
 そういった研究・教育活動から疾病をいかに予防するかを考えるようになりました。つまり、薬剤で“病気にフタ”をすることで病気を抑えることよりも生活習慣(食事、運動、サプリメント)で“病因を流す”ことによって疾病を予防していくことを積極的に働きかけていきたいと考えるようになりました。

■略 歴

2000年東京農業大学農学研究科博士後期課程修了後、2018年まで大学教育研究機関で主にフラボノイドによる骨代謝調節に関する研究に従事した。