taxifolin・pycnogenol
投稿日:2023年2月6日/更新日:2024年3月22日
タキシフォリン・ピクノジェノールという成分をご存知でしょうか。
これらはどちらも松由来の成分で、多くの健康効果を有する特徴があります。
タキシフォリンに関しては、新型コロナウイルスへの効果も数多く報告されており、元々の効果と合わせて多くの業界から注目を集めている成分です。
タキシフォリンは食事からもごく微量の摂取できますが、サプリメントの方が摂取効率がよく、ピクノジェールに関しては食事からの摂取は不可能となっています。そのため、どちらもサプリメントから摂取するのがおすすめです。
本記事では、タキシフォリン・ピクノジェノールの具体的な効果について解説していきます。安全性が心配な方に向けて、副作用についても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
タキシフォリン・ピクノジェノールは、どちらもポリフェノール中の「フラボノイド」に分類される成分で、松由来の天然成分です。
一般的には光合成の際に合成される成分であり、苦味や渋味、色素などの元として松の中で機能しています。
タキシフォリン・ピクノジェノールは、それぞれ異なる種類の松から抽出されますが、どちらも優れた健康効果を有しているのが特徴です。そのため、昨今では機能性素材として幅広い分野で使用されています。
また、タキシフォリンは別名「ジヒドロケルセチン」とも呼ばれており、その構造は玉ねぎなどに含まれる「ケルセチン」と極めて類似しています。
【参考】Pycnogenol: A blend of procyanidins with multifaceted therapeutic applications? – ScienceDirect
タキシフォリンとピクノジェノールは、どちらも松由来の天然ポリフェノールなので、一見するとほとんど違いはないように思えますが、2つの成分にはいくつかの違いがあります。
まず、タキシフォリンについては、シベリアに生育する「カラマツ」の木部から抽出された成分で、抽出後は精製を経て単一の状態になっています。野菜やフルーツなど、いくつかの食べ物にも極めて微量ながら含まれているので、食事からの摂取も可能です。
ただ、タキシフォリンは極地近くの激寒地域に生育している樹木ほど、良質なものが抽出できるので、食事からの摂取では非効率的になってきます。
一方、ピクノジェノールは、大西洋沿岸に生育する「フランス海岸松(赤松)」の樹皮から抽出された成分です。タキシフォリンとは異なり、成分として単一ではなく、プロアントシアニジンを主成分とする40種類以上のフラボノイドを含んでいます。ピクノジェノールは食品には含まれていないので、食事からの摂取は不可能です。
ちなみに、ピクノジェノールは「ホーファーリサーチ社独自の原料」であり、特許取得済み成分となっています。
【参考】Pycnogenol
先ほど説明した通り、タキシフォリン・ピクノジェノールはそれぞれ優れた健康効果を有しています。そのため、昨今では幅広い分野で注目を集めており、研究も活発に行われているのが現状です。
ここでは、このタキシフォリンとピクノジェノールの効能について、それぞれ詳しく解説していきます。
タキシフォリンには、高い抗酸化作用が確認されています。
抗酸化作用を有する物質は数多く存在しますが、その中でもタキシフォリンの抗酸化作用は少し特殊で自身が抗酸化物質として活躍するほかはビタミンCなど他の抗酸化物質の効果を高める作用があります。そのため、活性酸素による様々な障害を防ぎやすく、抗炎症や血管保護、血流改善などの効果も期待されています。
そのほか、タキシフォリンには抗糖化作用があることも確認されており、2型糖尿病やそれに伴う白内障、及び美容面などにも効果があるといわれています。
タキシフォリンは老化現象に対しても効果的です。
例えば、タキシフォリンは脳内におけるアミロイドβや炎症性物質、活性酸素の蓄積を抑制することが分かっており、認知症の予防や治療に有効な成分として注目されています。
また、タキシフォリンにはインスリン様成長因子-1(IGF-1)を増やす作用があることも確認されています。IGF-1は知覚神経の刺激によって増加する物質で、血流促進のほか、育毛作用を有しているのが特徴です。そのため、タキシフォリンを摂取することで育毛効果が期待でき、抜け毛や薄毛、白髪などの症状改善も見込める可能性があります。
このように、タキシフォリンは老化現象に伴う種々の症状に対しても、効果が期待されているのです。
【参考】Taxifolin: A Potential Therapeutic Agent for Cerebral Amyloid Angiopathy – PMC
最新の研究によると、タキシフォリンは新型コロナの感染対策に有効ともいわれています。
新型コロナウイルスは細胞へ侵入するに際し、ヒト細胞膜のACE2受容体に結合する必要があります。しかし、タキシフォリンはこのウイルス結合を阻害することが分かっており、細胞へのウイルス感染を防ぐ可能性が示唆されているのです。
同時に細胞内においては、タンパク分解酵素(メインプロテアーゼ)を阻害するなど、ウイルス増殖を抑制する効果も確認されています。
また、重症化を抑える可能性もあり、実際にタキシフォリンを摂取したことで、入院期間が短くなったとの報告もあるほどです。
このように、タキシフォリンは新型コロナ感染症の予防・治療に有効な可能性があり、現在でも研究が活発に進められています。
【参考】COVID-19(新型コロナウイルス感染症)とタキシフオリンの作用に関する一考察
ピクノジェノールは40種類以上のフラボノイドを含む成分なので、以下に示す多くの効果が期待されています。
・抗酸化
・抗炎症
・血糖値改善
・血流改善
・コラーゲン再生
中でも抗酸化作用は非常に強く、その強さはビタミンCの340倍以上。ピクノジェノールは抗酸化力の強いプロアントシアニジンが主成分なので、ここまで強い抗酸化作用を有しています。抗酸化作用が強いと炎症も抑制できるので、抗炎症効果にも期待できます。
血糖値改善の部分に関しても、プロアントシアニジンの影響が大きくなっています。プロアントシアニジンにはインスリン生成作用があるので、摂取すると血糖値が改善されやすいのです。
血流改善とコラーゲン再生効果については、他のフラボノイドの影響も大きいですが、十分な効果が期待できます。
タキシフォリンは野菜やフルーツなど、身近な食べ物にも含まれているので、食事からも摂取は可能です。しかし、食品のタキシフォリン含有量は少ないため、食事では摂取効率が良いとはいえません。
ピクノジェノールに関しては、そもそも食品には含まれておらず、食事からの摂取は不可能です。
そのため、タキシフォリン・ピクノジェノールを摂取するなら、サプリメントがおすすめです。
サプリメントならタキシフォリン・ピクノジェノールの含有量が多いので、どちらの成分も効率よく摂取できます。また、サプリメントであれば飲むだけで成分を摂取でき、負担も小さいので、継続的な摂取が可能です。
先ほど説明した通り、タキシフォリンは身近な食べ物にも含まれています。
野菜やフルーツに関しては、オレンジやレモン、りんご、ぶどう、ダークベリー、ネギなどが代表的です。落花生やとうもろこし、あずき、オリーブオイルなどに含まれていることもあります。
また、昔からハーブや薬用植物として用いられている「オオアザミ(マリアアザミ)」の成分としても知られており、オオアザミからも摂取が可能です。
シベリアの先住民族は、カラマツの木を煮出した汁を飲んでいたことが報告されており、このような形でもタキシフォリンを摂取できると考えられています。
このように、タキシフォリンを食事から摂取する方法はいくつかあるので、継続できそうなものを選んでいくとよいでしょう。
現在のところ、タキシフォリン・ピクノジェノールに大きな副作用は報告されていません。
しかし、過剰摂取した場合にはアレルギーの発症や発疹、吐き気などの症状が生じる可能性もあるので、その点については注意しましょう。
サプリメントだとつい多く摂ってしまいがちですが、タキシフォリン・ピクノジェノールは多く摂っても効果は変わらないので、1日の摂取量をしっかりと守ることが大切です。
タキシフォリンの安全性は、以下の試験により証明されています。
「急性毒性試験、亜急性試験、慢性毒性試験、生殖発生毒性試験、変異原性試験、遺伝毒性試験、細胞毒性試験」
なお、タキシフォリンの各国における安全性認証は、以下の通りです。
・日本:厚生労働省が食品として承認
・米国:FDAの「GRAS」認証
・欧州:EFSAの「Novel Food and Novel Foods Ingredients」認証
ピクノジェノールに関しては、以下の試験を経て安全性が証明されています。
「急性毒性試験、生殖毒性試験、慢性毒性試験、催奇形性試験、各種皮膚毒性試験、変異原性試験」
ピクノジェノールの各国における安全性認証は、以下の通りです。
・日本:厚生労働省が食品、化粧品原料として承認
・米国:FDAの「GRAS」認証
・オーストラリア:「TGA」認証
・韓国:「MFDS(旧KFDA)」認証
・英国:「DEFRA(旧MAFF)」認証
・フランス:「ANSES(旧AFSSA)」認証
タキシフォリン・ピクノジェノールは、それぞれ抗酸化作用が非常に高く、合わせて抗炎症や血流改善作用なども有する健康的な成分です。
特に、タキシフォリンに関しては老化現象にも効果的で、昨今の高齢化社会においてニーズが高まりつつあるので、サプリメントでの摂取も増えています。
Held(ヘルト)では、最新のニーズやトレンド、お客様のご要望に合わせて、様々な機能性原料を用いた商品の提案をしており、企画から製造、販売まで、トータルサポートが可能です。
タキシフォリン・ピクノジェノールを配合した製品の対応も可能ですので、これらの成分を配合した独自製品の販売を検討している場合には、お気軽にお問い合わせください。
管理栄養士、博士(生物環境調節学)、専門は栄養生理学 千葉 大成
東京農業大学大学院博士課程修了後、国立健康栄養研究所、大学研究機関で、食と健康に関わる研究活動および教育活動に18年携わってきました。研究活動としては、機能性食品素材に着目した骨粗鬆症予防に関する研究を主に行ってきました。一方で、教育活動の傍ら、地域貢献セミナーや社会人教育にも携わってきました。
そういった研究・教育活動から疾病をいかに予防するかを考えるようになりました。つまり、薬剤で“病気にフタ”をすることで病気を抑えることよりも生活習慣(食事、運動、サプリメント)で“病因を流す”ことによって疾病を予防していくことを積極的に働きかけていきたいと考えるようになりました。
2000年東京農業大学農学研究科博士後期課程修了後、2018年まで大学教育研究機関で主にフラボノイドによる骨代謝調節に関する研究に従事した。